輝夜姫 (27)
清水 玲子
友人からまとめて借りました。
さすがに27巻は長かった……。四日間読み続けました。
でも、なかなか進まなかったのは5巻くらいまでで、それから先は流れるような速さで(笑)。
私が清水さんのマンガと出会ったのは『竜の眠る星』で、『月の子』『秘密』と買っていますが、さすがにこの『輝夜姫』の27巻は手が出なくて、読まないつもりだったので、友人に感謝です。
でも、なんとなく苦手な方向にきているかも。
元々小説でもSFが苦手で、それはその物語世界の決まりごとにうまく馴染めないからという理由が大きいのです。
『月の子』も、実は途中で一度買うのを止めたのですが、数年後突然続きが読みたくなり買いました。
絵は本当に美しくて、うっとりしちゃうんですけどね〜。
ここから内容に触れます。
感想としては、なんだろう……メッセージはすごくわかりやすいです。碧の言うことなんて特に。
鬼を殺したら、今度はその人が鬼になる……これは復讐は新たな憎しみを生むことと同じ。でも、碧の言うことは綺麗過ぎると思ってしまうのです。
私には、どうしても納得できない。鬼を許して愛するなんて、絶対無理。
そして、自然に対する人間の傲慢。環境にも、クローン問題のある人間自身にも。でも、それさえ愛ゆえなんだって言われると、何も言えなくなってしまうんじゃないか。
この物語の主人公たちは、本体のために準備されたスペアだから、当然クローン絶対否定の物語かと思いきや、実はそうでもないのだから。
結局、ほとんど皆が、最後まで憎しみを継続させることなく、それぞれの物語が優しく終わっていく。私はそこが不満で、それは私の性格がゆがんでいるからなのかと少し心配なのだけど、もっと言っちゃうと、押し付けがましさを感じてしまったのです。テーマやメッセージがわかりやすいからなのでしょうけれど……。
絵も美しいけれど、登場人物の心もみんな美しすぎて(柏木は別!)、そこも物足りないのかな。
美しいものが嫌いなわけじゃないけれど、やっぱり憎しみってもっと強いものだと思うから。情にほだされるというのもわからないわけじゃない。でも、血の繋がりって、そんなに強いの?
ただ、美しいミラーと晶が結ばれたことは嬉しかったです。王子様キャラが好きなので、ミラーはかなり気に入っていたのです。由みたいに無口なのは損です。やっぱり女は言葉を待っていると思うから。ちゃんと言葉で伝えてほしいわけです。
なんだかんだ言っても、27巻一気読みは、かなり贅沢で楽しい数日間を過ごすことができました。久しぶりに『竜の眠る星』を読み返したくなったし。嗚呼、ジャック……!
さて、美しく優しいミラーのお気に入り登場場面だけ読み返しましょう……。