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北村薫 『ニッポン硬貨の謎〜エラリー・クイーン最後の事件』
ニッポン硬貨の謎
ニッポン硬貨の謎

 エラリー・クイーンの遺稿を北村薫が翻訳したという体裁のこの本。一応、この中で奈々子が披露する『シャム双子の謎』論のために、予習をしておいたのはよかったのですが所詮付け焼き刃。クイーンの作品(特に国名シリーズ)をろくに読んでいない私には、たぶんこの本の面白さを半分以上わかっていないんだろうなーと思います。逆に言えば、クイーンを好きな方にはたまらない本てことですね。

 前半はクイーンの作品について論じる場面が多いのですが、本当に翻訳した作品のような文章の雰囲気でした。これは私が翻訳物苦手なのでよくわかるという、なんだか皮肉な話なのですが(笑)、翻訳(苦手な人)にありがちな読みにくさがありました。だからこの試みは成功なのではないかと思いました。

 後半は連続殺害事件の真相をエラリーが推理していくのですが、これもまたほとんどクイーンの作品を読んでいない私が言うのも何ですが、クイーンが書きそうな話に仕上がっていたように思います。特に動機。こういう動機は私にはまったく理解の及ばない、むしろ異常性しか感じられないものですが、論理に重きを置くミステリには必要不可欠な動機でもあるのかなーと……。
 実際の事件の犯人にも、こういった動機を持っていたり、自分だけの規則性を持たせたりすることはあるのでしょうけれども。

 文章の端々には北村さんらしい言い回しがあり、ファンとしては嬉しいところ。でも事件の内容については、北村さんらしくないもので、なんとなく無理を感じてしまったかな〜。

 それにしても北村さんは本当にミステリが好きなんですね。そしてクイーンのことも。漫然と次から次へと読むだけの私には、ただただ感服するしかありません。

★★★
| 読書 小説 | 17:05 | comments(1) | trackbacks(3) | ↑TOP
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ココさん、こんにちは。
お伺いするのが久しぶりになってしまいました(汗)。
楽しめるミステリの、こちらと「館島」を
トラックバックさせていただきます。
コメントやトラバ返しなどお気軽にどうぞ。
| 藍色 | 2006/05/17 2:47 PM |
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ニッポン硬貨の謎:エラリー・クイーン最後の事件、北村薫
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