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橘玲 『永遠の旅行者』 (上・下)
永遠の旅行者 (上)永遠の旅行者 (下)

元弁護士のもとに、突然舞い込んだ依頼は「20億円の資産を息子にではなく孫娘に相続させたい。1円の相続税も払わずに」というものだった!実現可能なスキームを満載、驚愕の金融情報小説! (amazonより)


 書店で見かけた時の、相続税を納めないってどうするのだろう……という単純な興味から読んでみることにした。読む前にアマゾンの紹介文(上記)で、金融情報小説という言葉を目にし、一瞬失敗したかも、という思いはあったものの、読み始めてみればそんなものは杞憂だった。

 物語は、元弁護士の真鍋恭一が、PT(Perpetual Traveler・永遠の旅行者)と呼ばれる、どの国の居住者にもならず、合法的に一切の納税義務から解放された生活を送っていることの説明から始まる。収入や生活費、その他諸々なんの障害も心配もなければ、なるほどこういう生活もありで、実際にもかなりこういう人はいるのだろう。20億の相続税を免れることや、恭一のようなPTの生活は、おそらく私には一生無縁の話。物語の中で解説される、それらの専門用語も字面を追うだけで、一朝一夕に理解などできるわけもないので、その辺りは流し読みにて失礼……。

 それでも★の数が4つとなったのは何故かと言えば、そこにちゃんと物語があったからである。
 20億の財産を遺す麻生老人は、まもなく命の灯が消えようとしている。
そこで孫娘のまゆに財産を相続させるべく、恭一の噂を聞き、人を介して依頼してくることになる。一方肝心のまゆは、祖父が倒れるまで一緒に暮らしていた伊豆の別荘に立てこもるようにして、ひとり精神的に異常な状態に追い込まれていて―、というのが、話の発端である。

 まゆの父の行方や、母の死の真相、そして、麻生老人の過去の話にまで及ぶストーリーは、謎が謎を呼ぶこともあり、アクションシーンもありで、読んでいて全く飽きない。また、主人公恭一とともに、まゆを守る立場に立った元同僚の智子なども上手に配してあるのではないか。
 余談になるが、この二人の関係や、ちょっとした会話に、森雅裕のオペラシリーズの音彦と尋深を想起させられたというのも、高評価に繋がった一因かも。(←かなり好きなので)
 それはともかく、麻生老人の、戦後生まれの私たちには計り知れない過去の話が、こういう風にこの物語に繋がってくるのね、と、ラストで唸った。

 ストーリーの骨子はそれほど複雑ではないものの、邪魔をする人物や行方を探さなければならない状況などで、分量はかなり多い。けれど、その都度登場してくる人物にも個性があり、そんなところも、飽きのこない理由のひとつなのかもしれない。
 金融情報小説として読むもよし、ミステリとして読むもよし。私は、上下巻読み終えて、満足感と爽快感を得た。

★★★★
| 読書 小説 | 18:28 | comments(0) | trackbacks(1) | ↑TOP
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