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鳥飼否宇 『激走 福岡国際マラソン〜42.195キロの謎』
激走 福岡国際マラソン―42.195キロの謎

マラソンを舞台にスピード感溢れるミステリ
北京オリンピックの代表が決まる福岡国際マラソン。有力選手、外国招待選手、そして有望視されている新人など各ランナーの思惑が錯綜する。そのなかで実力がありながらペースメーカーとして出場する市川。彼もまたこの福岡にひとつの思いを持っていた。(中略)モノローグのように、各選手の過去が綴られ、次第に謎が明らかにされていく。勝負はトラックまでわからない。そして最後の直線100メートルの激走がその答えを出した。(amazonより)

 本格ミステリの定義は、人によってさまざまのようですが、本書もその一冊に数えていい作品だと思います。
 といっても、基本はフルマラソン中の選手の思考や駆け引き。主だった選手は五人で、それぞれの過去や思惑が錯綜しながらスタートするわけですが、ある事件が起こっても、どこからか颯爽と探偵が現れるというわけではありません。 なにしろ、たった二時間の間に起こる出来事なわけです。しかも選手は立ち止まることなくどんどんゴールを目指して進んでいってしまう。ひとつの目立つ事件の規模も大きくはないものなのです。

 しかし!
レースも終盤に差し掛かった頃、私の頭に一瞬のキラメキが起こり、それまで不思議だったことがすべて氷解していきました。そうか、あれもこれも全部伏線だったんだ!って。物語全体に仕掛けられた謎と、散りばめられた伏線の数々。これが本格ミステリでなくて何なんでしょう!
 注意深い読者であれば、かなり早い段階で見抜ける謎でもあるので、そのあたりで評価は変わってきそうですけれども。

 中盤から、「のどが渇いた のどが渇いた」「どうして走っているんだっけ どうして走っているんだっけ」といったように、何度も何度も言葉の繰り返しがあります。これは、マラソンのスピード感、選手の疲労感を出すためだと思われますが、成功していると思います。特に、私のようにマラソンについての知識が貧弱な読者には有効な手段。疲労感がよく伝わってきました。

 横山秀夫『半落ち』のときに起こった論争のように、事実と違う(あるいはかけ離れている)小説は認めぬ、という意見もありそうな予感。マラソンランナーやマラソンという競技に対する認識が甘いところがあると、素人の私でも思うからです。けれど、この小説はそれでかまわないのです。というより、そんなこと、著者の鳥飼さんも充分承知の上でしょう。

 実はそれほど期待して読み始めた本ではなかったのですが、とても満足して読み終えることができました。
 おもしろかった!

★★★★
| 読書 小説 | 22:50 | comments(0) | trackbacks(2) | ↑TOP
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「激走 福岡国際マラソン」鳥飼 否宇/著
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