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篠田節子 『マエストロ』
マエストロ

完全な勘違いをしたまま読み始めた。私はもうてっきりミステリだと思っていた。高価なグァルネリが盗難にあったりして、そこに隠された秘密が暴かれるとか、陰謀が潜んでいたとか……。実際盗難にはあうが、主人公の性格を浮かび上がらせるだけで、物語上あまり重要とも思えないエピソードだった。
結局この物語は、女性ヴァイオリニストの成長ものだった。これは私が悪いので何も言えない。篠田節子だもの、ミステリじゃなくてあたりまえだったのだ。けれど、それとは別に、主人公がどうにも好きになれない女性で、なんだろう鼻持ちならないというか、世間知らずでプライドが高いというか。すべての演奏家がそうというわけではないと思うが、これを読むと、演奏家、特にソリストはこんな人ばかりなのかと素人の私は考えてしまい、ファミレスなど飲食業のアルバイトをしたら、そういう店の料理を食べることに抵抗が生まれてしまったというのと同じような気持ちになる。
要するに裏側は知らない方がいいということだ。けれど、私もそこまで単純ではないので、そう考えてしまってもおかしくないよ、という程度だけれども。

成長ものとしては、瑞恵はずいぶんな代償を払うことになってしまった。自分の腕で勝負している人に大切なものってなんだろう。
プライドだろうか。練習や経験も当然大切なものだろうけれど、それは腕を磨き維持していく手段だろう。本当に大変なのは、精神的なもの。ずっと保ち続けねばならないプライドだと感じた。そこに疑問を持っていた瑞恵が、それを取り戻すまでを、初期の作品とはいえ篠田節子らしい重みのある文章が支えていたように思う。自分の足だけで立ってやっていく決意をした瑞恵の姿は感動的だが、しかし読み方を間違えた私には物足りなさが残り残念だった。

1992年9月刊行の単行本『変身』を改題

★★★
| 読書 小説 | 22:43 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑TOP
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