ココさん、こんにちは。
TB&コメントありがとうございました。
もう本当に嬉しいです。
これは本当に楽しんで読める本でしたね。面白かったです。
戦争は絶対に反対ですが、あの当時のことを考えたらやっぱり無理だったかな、と思ってしまいます。でも私もココさんと同じで、吾一たちの、御国のために己を犠牲にという考えは受け入れられませんね。何としても生きてやる、ですよね。
最近、戦争ものを何故だかよく読むもので、色々と考えさせられます。
今日から古処誠二の『七月七日』を読みます。その前は石田衣良の『ブルータワー』でしたし。これはSFテロの話でした。
それでは、また。
| でこぽん | 2004/10/15 5:56 PM |
でこぽんさん、こんにちは。
本当に、読み応えのある面白い本でした。
先日図書館で『七月七日』を手に取りました。
が、以前に読んだ古処さんの本が、あまりに重かったので躊躇してしまい、棚に戻しました。
今考えると、すぐに借りられるチャンスだったのに・・・。
でこぽんさんの感想を拝見して、またそれから読もうか考えたいと思いますので、楽しみにしています。
| ココ | 2004/10/18 9:50 AM |
ココさん、こんにちわ。以下にこの本を読んで考えたことを書いていきます。
荻原浩さんの本ははじめて読んだ。知ったのは10月24日の朝日新聞で、石田衣良の『ブルータワー』と共に書評で掲載されていた。『ブルータワー』よりもこちらのほうが気になり早速図書館で借りて読んでみた。
約3時間半で一気に読んだ。1944年の日本と2001年の日本のギャップに健太と吾一、両者共に驚いていると思うが、過去のことを本などで見聞きしている健太に比べ、何もわからない摩訶不思議な空間に引っ張り込まれた吾一のほうが、ショックが大きいだろう。健太の部屋で年表を見て腰を抜かす吾一の姿が目に浮かぶ。前半の、吾一の2001年に順応しようと格闘する描写が面白く、笑えた。
方やフリーター、方や予科練のバリバリの戦争人間。どちらもその世界に約1年をかけてなじんでいく過程がとても丁寧に描写されていた。なぜ二人は姿形がそっくりなのか?と言う疑問を持ちながらページをめくっていった。最初は、二人の姿は違っていて頭脳だけ入れ替わったのだと思っていたからだ。
けれども、二人は髪の毛の色や、腕にある傷を除いてほとんど同じ。だから、健太は吾一のリインカーネーション、生まれ変わりなのではないか。健太と吾一は時を越えた同一人物なのである。同一人物が同じ時間にいることは許されないから、健太が母親の体の中で受精した瞬間に吾一の体は異常を来たし、健太が生まれた瞬間に死に絶える。吾一と健太は同一人物だから、57年の時を経てほぼ同一の場所にいたから何らかの磁場が生じ入れ替わったのではないか。ということは、健太は2001年に19歳だから1982年(昭和57年)生まれで吾一は1925年(昭和元年)生まれだから、57歳で死んだのか。
そのような想像を働かせたが、後半に吾一は昭和20年に死んだとの記述があり、予想が覆った。その時点では戦後になってから死ぬまたはまだ死んでいないかもと考えていたからだ。多分、1945年8月16日に健太が魚雷に乗って、海に投げ出されたところで体がまた、2002年8月16日にいる吾一と入れ替わり、吾一はそのまま亡くなってしまったという解釈が妥当なように思える。健太は21世紀の人間で死ぬことを極度に怖がっているし(けれども最後、恋人のミナミの祖父を守るために健太が身代わりになって魚雷に入っていったのはえらかった)、吾一は根っからの戦争人間で、お国のために死ぬことを本望としていた。ぎりぎりのところでまた入れ替わって、吾一、健太ともに良かったのかもしれない。けれども個人的には吾一に死んで欲しくはなかった。吾一は何とか助かって、この「物質と欲と音と光と色にあふれかえり、謙虚も羞恥も謙譲も規範も安息もない」世の中になる過程をつぶさに見ながら戦後を生きぬき、命のバトンを健太に渡してほしかった。
実際には、最後にまた体が入れ替わったという明確な記述は避けられている。なぜ二人の体、性格がこれほどまでに同じなのか、結局最後まで明かされなかったように思える。ミナミがまた健太が変わっているのではないかという予感を持って、健太を迎えにいくところで物語は終わっているが、これは続きを読者たちに想像させようという著者の配慮だと思う。その続きの部分に謎が明かされているのだろう。頭の中では色々な想像が広がっている。
ココさんの、ミナミの身ごもった子供は、吾一なのではないかと言う解釈は興味深かった。これは、2002年から1945年に戻ってきて惜しくも亡くなった吾一の新たなるリインカーネーションなのだと思う。
| ウッドストック | 2004/10/30 10:16 PM |
ウッドストックさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
ラストを読者の想像に任せているところ、もどかしくも好感が持てました。
私も吾一と健太はまた入れ替わったのだと思う気持ちの方が大きいです。
でも、それでもやはり吾一に残ってほしいという思いが強い。
それは私が現代人だからかな、なんて考えもしました。
健太が行った過去は私にとっても過去。しかもまだ生まれてさえいない歴史の中。
なんとなく、過去は過去で完結してほしいというような気持ちになってしまったようです。
少し傲慢というか、身勝手かもしれませんね。
いろんな読み方ができますが、決して物足りないなどということはなく、思考の波が押し寄せてくるような物語でした。
| ココ | 2004/11/02 1:37 PM |
ココさん、レスをありがとうございます。
2回読んで、興奮しながら書いたので、随分大袈裟に書いた感じがします。
私は健太と吾一が入れ替わるのは百歩譲って、吾一には入れ替わった後にそのまま玉砕はしないで欲しかったです。戦後を生きながらえて、健太とじかに会うような展開を想像しています。健太は軍隊での生活で一皮も二皮もむけて成長したでしょう。吾一は、そのまま玉砕してしまうのは健太と比べ不公平だと思いました(吾一自身はそうは思っていないでしょうが)。私も吾一寄りで本を読んでいますね。
ところで、同じ荻原浩の新刊で、『明日の記憶』という本を読み終えました。タイトルから、またタイムスリップものかなと思いましたが、若年性アルツハイマーを扱っていて、私もいずれそうなるのでは、と言う思いに駆られました。私自身若年性健忘症の気がありますから。
| ウッドストック | 2004/11/06 10:08 PM |
ココさん、レスありがとうございます。
読んだ直後に興奮しながらだらだらと書いたので、随分大袈裟な文章になってしまったと思いました。
私も読んでいて吾一側に立って読んでいました。健太は1年間の兵役体験をもって2002年に帰ってくるのでしょうが、吾一は1945年に帰ってそのまま死んでしまうのに、少し納得がいかないからです。本書の設定ではありえませんが、健太が2002年に戻ってきた後に、年をとった吾一と健太が直接対面するラストを想像してしまいます。
ところで、同じく荻原浩の新刊で『明日の記憶』という本を読みました。タイトルから、またタイムスリップ物かなと思いながら読みましたが、若年性アルツハイマーに侵された中年男の話でした。私も若年性健忘症の気があるので、他人事ではなく読みました。
| ウッドストック | 2004/11/06 10:32 PM |
二重投稿になってしまい、すみません。最初の投稿がうまく送信されなかったと思ったので、もう一度書き直して投稿したら、前に投稿したものはきちんと生きていました。
| ウッドストック | 2004/11/06 10:42 PM |
ウッドストックさん、こんばんは。
吾一がそのまま玉砕してしまうのは不公平ではないか・・・というウッドストックさんの意見に賛同します。
それでは吾一は何のために現代に来たのかわかりませんもの。
健太と吾一の対面とは、なかなか斬新なご意見だと感じます。
私は、二人は完全にすれ違うものとしか考えていなかったので・・・。
ところで『明日の記憶』ですが、ちょうど図書館から来て、今手元にあるのです。
私も若年性健忘症は他人事ではないかも(?)なので、興味深いですねぇ。
早く読みたいです。
| ココ | 2004/11/07 8:52 PM |
ココさん、レスありがとうございます。
『僕たちの戦争』では、とても楽しく読んだので、妄想が広がっています。ラストは少々消化不良なのですが。
健太が吾一の生まれ変わりだとしたら、完全にすれ違うでしょうね。吾一は昭和20年に亡くなっていますが、それを昭和57年としたら、あの続きはどうなるかを想像しています。昭和57年は健太の生まれた年です。吾一は健太の誕生と同時に、命のバトンを健太に渡す形で、息を引き取るという設定が頭に浮かんで離れません。健太が戻ってきた後、それを20年後の平成14年に吾一の未亡人から知らされて(吾一は20年後に自分のしたためた手紙を尾島健太に送ってくれと夫人に言い残して)、吾一の遺影を前にミナミと自分とお腹の子の幸せを誓うというラストはどうでしょうか?
借りて読んでいた『僕たちの戦争』、先日購入しました。帯を初めて見たのですが、背表紙のコピー『死ぬほどピース。』には少し違和感を持ちました。コピーライター出身の著者自身が考えたのでしょうか?もう少ししっくり来る文句があるような気がするのですが…。私もこの本にどのようなコピーをつけようか、考えました。『生まれ変わったが運の尽き!?』あまり良いコピーではないですね。表表紙の『What a wonderful world!?』は要らないと思いました。『人間の順応力は悲しいほどにたくましい……かも。』は内容をうまく表していると思います。
ここで話題が挙がっていた、古処誠二の『七月七日』を読み始めています。アメリカのために戦う日系二世の語学兵ショーティの屈折した心情が哀感を呼びます。
| ウッドストック | 2004/11/13 11:00 PM |
ウッドストックさん、こんにちは。
購入されたとは、本当に感銘を受けられたのですね。
これだけラストやその後を考えさせる物語も、そうないのではないでしょうか。
きっと読者ひとりひとりに、それぞれ違った解釈があることでしょうね。
もっといろんな意見を聞いてみたいところです。
そろそろ年末恒例のベスト本が発表になる頃ですね。
この本が選ばれて、もっと話題になって、たくさんの方の意見を聞くことができれば・・・などと考えました。
ところで『七月七日』。
以前読んだのは『分岐点』でしたが、読んでいて苦しかったです。
その苦しみをまた味わうのか、と思うと簡単には手が出なくて。。。
| ココ | 2004/11/16 10:50 AM |
すいません。
通りすがりですが、自分も『僕たちの戦争』は読んでたものでひと言。
入れ替わった吾一が、健太が当初たくらんでいたように、回天を脱出し、ひっそりと沖縄に上陸していた……という考え方もあるのでは?
中盤で、ミナミが「時々知らないおじさんがじっと見てることがある」と語ってましたし。それは、吾一かもしれないし健太かもしれない。
もっとも回天が爆発したと思しき(?)シーンがあるので微妙ですかね。
でも、そういうのを期待してしまう作品ではありますしね。
| 通行人 | 2005/05/18 10:48 PM |
みなさんいろいろと思いが拡がる物語のようですね。
中盤のミナミのセリフにそんな意味深なものがあったとは、まったく記憶にありませんでした。
何か関係がありそうですね。
この作品をテーマに、読書会なんて行なったら、すごく盛り上がりそう。
自分が考えもしなかった解釈が出てきそうです。
| ココ | 2005/05/21 2:21 PM |
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