文学刑事サーズデイ・ネクスト〈2〉さらば、大鴉
前作で『ジェイン・エア』の結末を変え、一躍有名人となったサーズデイ。テレビ番組などに引っ張りだこで少々うんざり。
結婚もして、公私共に充実・・・かと思いきや、サーズデイの周囲にまた不穏な空気がたちこめる。
すばらしい。かなり飛ばしてますねー。
訳者あとがきにもありましたが、シリーズでは、その都度何かの小説がテーマになり、それに関する事件が起こり、サーズデイが解決していくという、
一話(ほぼ)完結ものになるものだと、私も想像していました。
ところがなんと、物語は前作からまだ終わっていなかったのですね。安心するのはまだ早かったわけです。
というか、前作はきっかけにすぎなかったということか。
だって、今回、ますます大変なことになってしまいましたから!
それにしても、またいろんな面白いものが登場しました。
脚注を使って話しかけてくる電話。米とレンズ豆を混ぜて偶然を量るエントロポスコープ。地球の内部を自由落下して移動するグラヴィチューブ。
そしてなによりも楽しいものは、地上26階地下26階に及ぶ大図書館を通して行われる書物間移動や、
ジュリスフィクションという、小説の作中人物たちが集まって文学を守っている保安機関の活動。
小説好きなら誰でも一度は、好きな物語の作中人物になった自分を想像したことありませんか?といってももちろん、遊びでしている活動ではないジュリスフィクションです。
文学への関心がものすごく高いこの世界では、文学に関する事件が後を絶たず、こんな機関が密かに活躍しているのですね。
作中には様々な文学作品が登場します。例えば『大いなる遺産』『不思議の国のアリス』『ハムレット』。
もちろん読んでいれば言うことなしですが、読んでいなくてもそこは想像と訳者の丁寧な訳で補うこともでき全然大丈夫。
まだまだ問題山積みのサーズデイですが、いったいこの先どうやって解決していくのか、早く三巻が読みた〜い!